悩み(りえさん:4歳のお子さん)

「4歳になる息子の、保育園でのお友達との関わり方について深く悩んでいます。特に女の子への執着が強いようで、ズボンを引っ張ったり、着替えやトイレを覗こうとしたりといった不適切な行動が続いています。
周りのお子さんから避けられるようになってしまい、息子がそれに気づいていない様子を見るのがとてもつらいです。
その都度、先生や私も『女の子が嫌がるからダメだよ』と言葉で説明するのですが、息子は『なぜ怒られているんだろう?』という顔をするばかりで、全く理解できていないようなのです。言葉で伝わらない時、一体どうすれば良いのでしょうか。」
体験談・アドバイス
まゆみママさん(年長のお子さんを持つ)

「そのお悩み、とても気がかりですよね。私も息子を持つ親として、女の子への関わり方については、とても気を遣います。言葉での注意が右から左へ抜けていくように感じること、本当によく分かります。
もし言葉で伝わりにくいのであれば、**『視覚的に伝える』方法が有効かもしれません。我が家では『イラスト作戦』**と呼んで、色々な場面で試しています。
以前、息子が妹の髪を引っ張るのがやめられず困っていました。何度注意しても、笑いながら繰り返すのです。そこで、**『髪を引っ張られて泣いている女の子の絵』を描き、息子がその行動をするたびにその絵を見せて、『髪をひっぱる、ばつ(✖)』**と短くはっきりと伝えました。『ダメ』という言葉より、『ばつ』という記号の方が、息子には伝わりやすかったようです。
そして、ここからが一番大切なのですが、『ダメなこと(✖)』の代わりになる『良いこと(◯)』をセットで教えるようにしています。例えば、『髪を引っ張るは✖』と伝えたら、すぐに**『頭をよしよしするは◯』**と、優しい行動が描かれた別の絵を見せ、やり方を教えてあげるのです。『おもちゃを横取りするのは✖』なら、『“かして”のジェスチャーは◯』というように。
きっと、お子さんの行動には本人なりの理由があるはずです。その表現方法が間違っている時に、『こうすれば良かったんだよ』と具体的な正解を教えてあげるイメージですね。絵心のない私には少し大変な作業ですが、言葉だけで注意し続けるよりも、本人に伝わっていると実感しています。」
補足ポイント
「なぜ?」が伝わらない時は「見て」わかる工夫を
言葉の理解がゆっくりなお子さんにとって、「なぜなら〜だから」という理由の説明は、理解するのが難しい場合があります。そんな時は、「見てわかる」視覚的な情報が非常に有効です。写真や、簡単な棒人間のイラストでも構いません。
「ダメなこと(✖)」と「良いこと(◯)」をセットで教える
これが最も重要なポイントです。ただ単に行動を禁止するだけでは、子どもは何をすれば良いのか分からず、また同じ行動を繰り返してしまいがちです。「〜はしてはダメ(✖)」と伝えたら、必ず「代わりに〜しようね(◯)」と、具体的で望ましい代替案をセットで提示してあげましょう。
言葉は短く、簡潔に
イラストや絵カードを見せる際に添える言葉は、「おもちゃ、とる、ばつ」「かして、どうぞ、まる」のように、できるだけ短く、簡潔に、そしていつも同じ言葉を使うことを心がけましょう。
手作りでも、市販品でもOK
体験談のように、その場その場でご自身でイラストを描くのも素晴らしい方法です。また、「絵カード 発達支援」などで検索すると、日常生活や対人関係のルールをまとめた市販の絵カードセットなども見つかります。
まとめ
言葉での注意を繰り返しても、お子さんが不適切な行動をやめない時、それは反抗しているのではなく、単に「なぜダメなのか」が伝わっていないだけなのかもしれません。
そんな時は、一度立ち止まり、コミュニケーションの方法を「言葉」から「イラスト」などの視覚的なものへ切り替えてみるのがおすすめです。特に、「ダメな行動」と「望ましい行動」を絵でセットにして見せる方法は、お子さんが次にどうすれば良いのかを具体的に理解する助けになります。
お子さんに合った伝え方を見つけるのは根気のいる作業ですが、試行錯誤する中で、きっと親子の大きな一歩に繋がるはずです。


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