「ママって言って!」としつこく頼んだら、こっそり「ママ」と言ってくれた——。
5歳になる直前、Aさんはそれだけでうれしくて涙が出たそうです。でも同時に「年長になったらすぐ就学の話が始まる。この子、小学校でどうなるんだろう」という不安も重なっていました。
Aさんの相談:発語はほぼない。でも何かは伝えようとしている
5歳男の子ですが、まだ有意語の発語がほぼなくて。3歳から療育に通っているんですが、診断名もまだついていないんです。4月から年長なので就学も考えて診断を受けようと思っています。
1年前まではほぼ無言で、行動だけで意思を伝えるような感じでした。最近は宇宙語みたいな独り言が増えてきて、しつこく頼むと「ママ」ってこっそり言ってくれることもあって。でも困ったことをうまく伝えられなくて泣いてしまうんです。
5歳で発語がなかったお子さんがいたら、その後どうなったか教えてほしいです。いつ話し出した、話さなくてもコミュニケーションできてる、など聞かせてもらえると嬉しいです。
コミュニティの声:「宇宙語の時期は、言葉を蓄えている」
うちの子は小3でもまだ発語は少ないです。でも理解は全然違う。だいぶ分かってるな、っていうのは表情や行動でわかります。一番困るのは「痛い」「気分悪い」を伝えられないこと。ジェスチャーを覚えさせて意思疎通できるようにしました。
宇宙語の時期って、言葉を頭の中にどんどん蓄えてる時期なんですよ。後から場面と結びついて「あの言葉、そういう意味だったんだ」ってつながるんです。うちもそうでした。
要求のジェスチャーから始めると良いですよ。「ください」って両手を差し出すやつ。それができたら「〇〇ください」と言葉を添えるように段階を踏んでいくと、発語につながりやすい。絵カードが合う子もいますが、合わない子もいるので試してみる感じで。
「発語がない」と「コミュニケーションができない」は違う
発語がないからといって、子どもが何も理解していないわけではありません。受け取る言葉(理解語彙)と、口から出せる言葉(表出語彙)は別々に発達します。
発語が少ない子に多いのが、「何かを伝えたい気持ちはある、でも言葉に出ない」という状態です。この段階で試してほしい3つのアプローチがあります。
① 要求ジェスチャーを作る
「ください」のポーズ(両手を差し出す)や「もっと」(手をたたく)など、子どもが自然に出しやすい動きを決めてルーティン化します。ジェスチャーで要求が通る成功体験が、言葉への橋渡しになります。
② 絵カードや写真カードを試す
すべての子に合うわけではないですが、視覚的に「これが欲しい」「こうしたい」を選べるカードがあると、伝える手段が増えます。合わなければ無理に続けなくていい、くらいの温度感で導入してみるのが良いです。
③ 集団療育を増やす
個別療育だけより、同年代の子と一緒にいる集団療育を組み合わせると、コミュニケーションの場面が増えて刺激になるという声が多いです。行動模倣や真似も起きやすくなります。
「体調を伝えられない」への備え
Bさんが指摘していた「痛い・気分悪いを伝えにくい」は、就学後に実際に困るケースとして多く挙がります。
学校に上がると、自分で「頭が痛い」「お腹が痛い」と申告しないと保健室にも行けません。就学前にやっておきたいのは、体の部位を指さしで示す練習や、「痛い顔」カードを作っておくことです。担任の先生にも「本人から言えないので顔色や様子を見てほしい」と事前に共有しておくと安心です。
就学に向けて:発語がない子の診断・相談の進め方
Aさんのように年長を前に診断を希望する場合は、早めに発達外来の予約を入れましょう。初診から診断まで数ヶ月かかることがあります。
- 発達外来の予約:かかりつけ小児科から紹介状をもらうとスムーズ
- 就学相談の申し込み:自治体の教育委員会に年長春〜夏に申し込む(締め切りに注意)
- 療育での就学準備:現在通っている療育先に「就学を意識した目標にしてほしい」と伝える
- 支援員・相談員との連携:受給者証に紐づいた相談支援員がいれば、就学相談のサポートをしてもらえることも
Aさんの息子さんが「ママ」とこっそり言ってくれた日。それは言葉が動き始めたサインかもしれません。宇宙語は蓄積の時期——次の段階へ向けて、少しずつ準備できることを積み重ねていけたらと思います。
