「あ!飛行機!」と窓の外を指さして嬉しそうに叫ぶ。でも「りんごどれ?」と絵本を開いて聞いても、息子は何も返してくれない。
言葉の遅れは気にしていたけれど、この「かみ合わなさ」は少し違う感じがしていた——。2歳7ヶ月のお子さんを持つAさんが、あるオンラインコミュニティに投稿したのは、そんな具体的な違和感でした。
Aさんの悩み:言葉よりも「やりとり」の部分が引っかかる
最近やっと二語文が出てきたんですが、「りんごどれ?」や「楽しかった?」など、指さしや「うん・ううん」で答えられるものへの返答がないんです。飛行機を見て「あ!飛行機!」と指さすことはするんですが、こちらの質問には反応しなくて…。
3歳の甥は2歳のころから「一緒に見て!」「伝えたい!」という意思が感じられたんですが、息子にはそれがなくて。言葉が遅いだけなのか、それとも別の何かがあるのか、わからなくて。
2歳健診では「二語文がないので様子見で」と言われていました。でもAさんが気になっていたのは語彙の数よりも、「会話のやりとり」そのものが成立しない感覚でした。
「自発の指差し」と「応答の指差し」は別のスキル
Aさんの息子さんには「飛行機!」と自ら指さして共有しようとする動きがありました。これは「共同注意」の一形態で、実はとても大切な発達のサインです。
でも「りんごどれ?」と聞かれたときに指で示す「応答の指差し」や、「うん・ううん」で答える「Yes/No応答」は、また別のコミュニケーションスキルです。前者は「見て!」という発信、後者は「相手の言葉を受け取って返す」やりとり——この2つは発達の文脈でも区別して見ます。
Aさんが感じていた「かみ合わなさ」はまさにここにありました。
コミュニティの反応:「何歳でこれが…」より親の感覚を信じて
「3歳でこれができていなければ…」という目安を探すより、お母さんが今感じている違和感の方が大事だと思います。違和感があるなら早めに相談するのが一番。
語彙の数より、コミュニケーションとしてのやりとりが成立するかどうかが重要なんですよね。発達相談の窓口に行ってみてほしいです。
保健師さんに「療育に繋いでほしい」と明確に希望を伝えると動いてもらいやすいですよ。「様子見でいいですか?」だと流されることもあるので。
Aさんはこの投稿の後、市の発達相談窓口への連絡を決めたそうです。
「共同注意」とは何か——親が知っておくと相談がスムーズになる
共同注意(joint attention)とは、ひとことで言うと「同じものを一緒に見る・感じる」力です。「見て!」と指さしながら親の顔を確認したり、親が「見て!」と言った方向を目で追ったり。1歳前後から発達していくこのスキルが弱いと、言葉の遅れや会話のかみ合わなさとして現れることがあります。
発達相談の場でも「応答の指差しはありますか?」「こちらが指さした方向を目で追いますか?」という質問がよく出てきます。事前に知っておくと、相談のときに具体的に話せます。
相談できる場所:まずここから動いてみる
- 市区町村の子育て相談窓口・保健センター:健診後でも「やっぱり気になる」と電話でOK
- かかりつけ小児科の先生:「発達が心配で」と一言伝えると発達外来への紹介状を書いてもらえることも
- 保育園・幼稚園の担任:園での様子を聞きながら「相談したい」と伝えると連携してもらいやすい
- 児童発達支援センターの相談窓口:療育に通っていなくても相談だけできる場合がある
「様子見」と言われたあとに動くタイミング
健診で「様子見で」と言われると、次の健診まで何もできないような気持ちになりますが、そんなことはありません。
「様子見の期間に自分でできることをやりたい」「もう少し専門的に見てほしい」と感じたら、別の窓口に相談していいし、かかりつけ医に「発達外来に繋いでほしい」と伝えていいのです。コミュニティに投稿したメンバーからも、「様子見で動けなかった期間が一番つらかった」という声は多く出ていました。
うちは「様子見で」と言われてから1年動けなかった。その間の悶々とした時間が一番しんどかったです。今思えば早く動けばよかった。
親が感じる「何かが違う」という感覚は、数値でも月齢チェックリストでも測れない大切な情報です。Aさんのように「気になったから相談してみた」という一歩が、子どもにとってのスタートラインになります。
